久しぶりに制限のないゴールデンウィークとなった今年、今月始めからいろんなところにお出かけされる方も多いようです。
その一方、5月病という言葉があるように、新生活が始まり、少しづつ疲れが溜まってきて、体や心が疲労してくる時期
なんとなく疲れやすい、ダルい、なんとなくいつも眠いという方も多く聞かれます。
東洋医学では、人体を構成する基本的な要素を「気」「血」「津液」といいます。この「気」が不足すると「気虚」という状態になり、疲れやすい、ダルい、手足が冷える等の症状がでやすくなります。
食べ物が脾胃に入ってきて、それが呼吸によって入ってきた空気と合わされることで、「気」が生成されます。今回はこの「気」について少しみていきます。
気の作用
元気とかやる気、気力など、なにげなく使っている言葉ですが「気」とはどんな働きをするのか、東洋医学では、5つの作用があると言われています
*〇*〇推動作用(すいどう)*〇*〇*
血や津液の流れをよくして、臓腑の働きや血の流れを促進してくれます。ヒトの成長などもこの作用によります
*〇*〇*気化作用(きか)*〇*〇*
気から血、血から精など、物質を変化させる、または代謝を促進させる作用です。汗や尿などの排泄物を生成するといった変化させる作用です
*〇*〇*防御作用(ぼうぎょ)*〇*〇*
身体の表面を保護して、外からの邪の侵入を防いだり、抵抗する作用です。
*〇*〇*温煦作用(おんく)*〇*〇*
身体の体温を保ち、臓腑や経絡の機能を円滑にする作用です
*〇*〇*固摂作用(こせつ)*〇*〇*
身体の中にとどめておく作用で、必要な気、血、津液を必要以上に外に出て行かないようにする作用です。汗や尿が多く出すぎないように不要な漏出を防ぎます
気でおこりやすいトラブル
気の働きが上手く作用しない、気の量が不足するなどによって起こる身体の不調についてみてみます。
***「気虚」***
気の量が不足している状態です。疲れすぎたり、栄養が足りないことで、気が足りなくなります。すると固摂作用が低下し、暑くもないのに、じっとしていても汗がでたり、全身に力が入りづらくなって、息切れや倦怠感などがでます。また推動作用が低下する消化が上手くいかず、食欲がなくなったり、温煦作用の低下により、手足が冷えたり、風邪を引きやすくなるという症状がみられます
この「気虚」が進むと、固摂作用が更に低下して「気陥」(きかん)という状態になることもあります。胃下垂や脱肛、頻繁に便意がある、下痢をするなどの症状が視られます。
***「気滞}***
気の流れが滞った状態で、身体や重く感じたり、張ったような痛みがでたり、血の流れも悪くなります。ストレスなどが原因になることあり、イライラしたり、眠れないといった症状もでて、軽いものは「気鬱」といいます。溜まってしまった気が上に動くとゲップ、下に動くとおならが出やすくなります。推動作用が低下して気は滞り、更に停滞すると熱を帯びることで、上に上がってきて、ほてりや熱っぽいという症状もでます。
***「気逆」***
気が逆流して上昇しすぎたり、下降する力が足りないときになります。頭に血が上って、感情が高ぶりすぎたり、本来の呼吸が上手くいかず喘息や咳がでます。また胃の調子が乱れることで、ゲップや吐き気が起こるなど、主に上に上がってくる症状がみられます。
気の作用を助けてくれるツボ
この時期、お出かけで気分転換も良いですが、気の作用を高める為にツボ押しやお灸でお身体のセルフケアをして、自分時間を過ごすのもお勧めです。主に気虚症状や、気滞症状のあるときにお勧めのツボをご紹介いたします。
■□■□気虚症状があるとき■□■□
****「気海」(きかい)***
お臍の下にあります。お臍の中央からそのまま下に1.5寸下がったところにあります。親指の第1関節の横の幅が1寸です。親指の第1関節の幅とその半分の長さ下がったところにあるツボです。
***「足三里」(あしさんり)**
足の前側、すねの外側にあります。高さは、膝のお皿の下に自分の人差し指から小指の4本の指を揃えておき、その小指側にあたるところです。足のすねの骨より少し外側にあるツボです。
■□■□気滞症状があるとき■□■□
***「合谷」(ごうこく)***
手の甲で、親指と人差し指の間にあります。水かきのところより、少し人差し指の骨に近いところを押すとじんわりと響くところがあります。
***「太衝」(たいしょう)***
足の甲で、親指と第2趾の間の骨を、指先の方から足首に向かって擦っていくと行き止まりになるところにあります。