桜も一気に咲き、冷たい雨で、花びらが地面や水面に散ってくる様子もまた、春が進んで来ているのを感じます。
「春三月此謂発陳、、、」東洋医学の古典である『黄帝内経』に春夏秋冬の気候の変化に順応するための人の養生法について記載されている一節があります。
春、新しい芽生え、万物が栄えてくる気象であり、この3ヶ月を発陳(ハツチン)といいます。この季節は万物が成長する原動力を充分に蓄えられる季節であるから、大自然の中に生活する人もこの変化に順応して日常の生活を送るのがよいとされています。
日が暮れたら寝て、朝が早く起きて、新鮮な空気を呼吸し、広く庭を散歩し、頭髪は結束を解いて、全身の束縛をといて、充分ゆったりとゆるめておきましょう。何かやろうという意欲を芽生えさせ、育てていこうとする力をそぎとる様なことはせずに過ごしましょう。
そうでないと「肝」を傷つけることになり、春の後にやってくる夏になって、暑さを感じる季節でも足や腰が冷えるという不調がでてきてしまうことがあったり、自然から与えられたのびる力を受け取るための「気」が不足してしまうことがあります、、、、
このように、春は本来、しっかり睡眠をとり、早めに起きて、伸びやかに過ごしたい季節です。
不眠
夜なかなか寝付けない、寝ても何度も夢を見る、寝た気がしないという方も来院される方に多く聞かれます。新学期や新生活など、環境の変化や緊張感、ストレスが多い、夜更かしが続いているなどの生活の乱れ、運動不足など原因は様々だと思います。
大脳皮質機能や自律神経機能と睡眠は関係があり、東洋医学では「肝」や「心」「脾」に関係していると考えます。
「肝」や「心」は血との関わりが深く、「脾」は気や血との関わりが深いと言われています。例えば、、
*くよくよと悩んでしまいやすいときは、血を全身に送る「心」の機能や、思考や思慮に関わりのある「脾」が弱っていて、気が不足したり、気や血が上手く流れない事で眠れなくなる。
*心身ともに疲れ過ぎているのに、眠れないときは「肝」の疏泄作用(全身に上手く分配する、行き渡らせる機能)が働きづらくなり、「血」や「気」の流れが悪くなる事で眠れなくなる。
本来、伸びやかに、成長し、意欲を芽生えさせて、育てていこうというこの季節、その為によい睡眠はとても大切です。
体の中の気力が足りない、体の巡りが上手くいっていない、そんな症状を、セルフメンテナンスでのお灸やツボ押しで、サポートしてみてください。また当院の鍼灸全身調整コースでもお手伝いさせて頂きます。
お勧めのツボ
****失眠(しつみん)****
かかとの膨らみの真ん中にあるツボです。このツボは名前にも眠という字がついていますが、不眠の特効穴と言われています。
お灸やツボ押しをしてみてください。
****大陵(だいりょう)****
掌を上にして、手首を手前に曲げるときにできる線。手関節横紋といいます。この線上でだいたい真ん中にあるツボです。
手首をもう片方の四本の指で下から支えてあげて、親指でゆっくりと押してあげましょう
****三陰交(さんいんこう)****
足の内側にあるツボで、内くるぶしから足の骨の後ろ側に沿って擦っていきます。内くるぶしからに指4本揃えておいたあたりの高さにあるツボです