夜の時間が日に日に長くなっていくこの時期、夏の暑さが過ぎ、夜が比較的過ごしやすなってきました。
季節の変わり目でもあり、気温差によって、身体にも変化が起こりやすい時期です。
当院では最近は、腰や首、肩が朝起きると痛くなっている、夜中に何度も目が覚めてあまりゆっくり眠れていないという方が増えています。
なかなかゆっくり眠れない
不眠の原因は色々ありますが、東洋医学では、「心」「肝」「脾」に関係があると考えられます。
「心」
楽しいことのある前日、ワクワクしすぎて眠れない、また、寝る前にカフェインの入った飲み物を飲んだら、眠れないという経験はありませんか。東洋医学では喜びすぎると気が緩み、心を傷つけると言われてます。また、カフェインなどによる強心作用の影響で眠れなくなってしまうことも。
お勧めのツボは「大陵」:掌側の手首のライン上で、ほぼ中央にあります。少し手首を屈曲させると浮き出る2つの腱の間にあるツボです。
「肝」
イライラして眠れない、考え事をして眠れないという場合、肝との関わりが考えられます。肝は気や血の流れを良くする疏泄作用という働きがあります。これが上手く働かないと、気や血が滞りやすく、イライラや、怒り、目の充血、不眠などの症状が現れます。肝には蔵血作用もあり、人は寝ている時は、血は肝に集まり蓄えられ、日中の活動に備えて休んだり、栄養を滋養しています。寝て身体を休めることは、次の活動のためにも大切です。
お勧めのツボは「太衝」:足の甲で、第1趾と第2趾の間を、指先から足首に向かって擦り上げていき、行き止まりになったところの凹みにあります。
「脾」
脾は思考との結びつきが深いと言われています。夜、布団に入りながら、考え事をして朝まで眠れなくなってしまったという経験ありませんか。深く考え過ぎたり、くよくよすると脾の機能が低下してしまいます。思い悩みやすい人は、胃腸の機能の弱い方も多く、お腹がすきすぎると眠れない、食べ過ぎると眠れないという症状がでる方もいます。
お勧めのツボは「三陰交」:足の内くるぶしから上に指を4本並べた高さで、足のすねの骨の後ろの際にあります。
身体を冷やさないことで良い睡眠を
人は寝る前よりも寝ている間に体温が下がっています。日中や寝る前はまだ薄着、首周りの開いた服や、足元も素足で過ごすこともあると思いますが、朝方にかけては体温も下がっている上に、朝方は気温も下がり身体が冷えやすい状態になります。身体を温めてあげる事が大切です。お勧めは足首ウォーマーです。寒くなってくると靴下をはいて寝るという方もいらっしゃると思いますが、足底まで覆ってしまうと、身体の熱を放散することができず、体温調節がしにくくなるので、足の先は覆わず、足首だけを覆ってあげてください。足首ウォーマーがないという方は、要らなくなった靴下の先を切って、足首周りだけ覆ってあげるのもよいと思います。
お灸や足浴でホカホカ
「失眠」というツボ、かかとの真ん中にあるツボです。ここにお灸をしたり、ツボ押しをしてみましょう。
また好きなアロマオイルをぬるめのお湯に垂らし、足浴するのもお勧めです。
眠れない夜は
どうしても眠れない時は、無理に寝ようとせず、秋の夜長、好きな香りや照明の中で好きな音楽を効いたり、部屋を薄暗くして、布団に入り、そっと目を閉じるだけでも良いので、身体を冷やさないようにして、ゆっくり身体を休めてください。目の周りを温めてあげると、更に力が抜けてリラックスできると思います。